カプセルホテルの基礎知識と新しい傾向

 

カプセルホテルはこう変わった!カプセルホテルの基礎知識と新しい傾向とは?

 
記事作成 2017.09.27
最近、カプセルホテルの出店ラッシュが起こっているのはご存知でしょうか?宿泊料金の安さから観光の拠点としてカプセルホテルを利用するという方の増加や、外国人旅行客の「ジャパンブーム」によるホテル不足から需要が生まれたというのも背景としてあるのですが、それだけではありません。カプセルホテルといえば終電を逃した人が仕方なく泊まるものというイメージが長らくありました。ですが、最近オープンのカプセルホテルには今までのイメージを覆すような店舗が珍しくありません。今回は、カプセルホテルの基礎知識をまとめるとともに、最近のカプセルホテルの新しい傾向を紹介したいと思います。

1、カプセルホテルとは?
 旅館業法の簡易宿所にあたるカプセルホテルは大部屋の中に上下2段に置かれたカプセル状の簡易ベッドが並べられている形態が一般的です。カプセルの中には寝具のほかに照明やテレビ、目覚まし時計などの設備が整えられていて宿泊客はブラインドやカーテンを締め切って利用します。カプセルには法律上、鍵をかけることができないため貴重品や荷物はフロントやロッカーに預け、施設では館内着に着替えて行動します。
 日本初のカプセルホテルとして知られる「カプセルイン・大阪」が開業したのが1979年、建築家の黒川紀章が設計したカプセルはシンプルながらも機能的で、今も現役で稼働しています。日本発祥のカプセルホテルは外国人旅行客にとっても物珍しく、日本に来たら一度は泊まってみたいという声もあるとか。宿泊費を節約できるという点では日本の若者やビジネスマンだけでなく、外国人旅行客にも人気があります。

2、カプセルホテルのメリット、賢い利用法とは?
 さて、カプセルホテルに宿泊するメリットですが、何といっても安く泊まれるというのは魅力です。外国人旅行客の増加からホテルの需要が高まっている昨今、都市部や観光地ではビジネスホテルやリゾートホテルの宿泊費が高騰し続けています。そんな中、1泊2,000円台から宿泊できる上に大浴場やサウナまで利用できるカプセルホテルに今注目が集まっています。
 また、スパ併設型のカプセルホテルでは休日になるとスパで日頃の疲れを癒した後はカプセル内での昼寝やレストランでの飲食を思い思いに満喫し、更にはマッサージまで受けられるなど大人の「癒し」を求める客が集まってきます。日帰りの客も多いですが、あまりにも快適すぎてそのまま宿泊される方もいらっしゃるとか。
 そんなカプセルホテルの賢い利用法ですが、ウォークイン(予約なし)で利用できるというメリットはぜひ活かしたい所です。もともとカプセルホテルは終電を逃した人がタクシーで帰宅するよりも安く泊まれる場所として人気を博していました。そのため、突然の外泊や予定変更で宿泊施設を探す場合にカプセルホテルは最適です。繁華街に数多く建てられているカプセルホテルは周囲に飲食店が多いためそちらの店探しに苦労することがありません。また、館内に大浴場やサウナも設置されていて、替えの下着類を販売する自販機まであるので手ぶらでも問題なく宿泊できます。事前予約での宿泊はもちろん、当日飛び込みで宿泊できる場所としてカプセルホテルがあることを覚えておくだけで旅や遊びの自由度がグンと増します。

3、出店ラッシュ!最近の傾向とは?
 カプセルホテルはとにかく安く便利に宿泊できる場所という認識でも間違いはないのですが、最近オープンのカプセルホテルには少し違った傾向が見られます。それは、洗練された「プレミアム感」のある施設で快適に寝泊まりできる空間というイメージです。従来のカプセルホテルとはどういった点で異なっているのでしょうか。
 1例を挙げると、皆さんは「ファーストキャビン」というカプセルホテルをご存知でしょうか?東京、大阪を中心に全国で16店舗を運営するカプセルホテルチェーンとして現在急速に規模を拡大しています。「ファーストキャビン」の特徴は飛行機のファーストクラスをイメージした「キャビン型」と呼ばれる客室です。従来のカプセルホテルではカプセル状のベッドが上下2段になっているため、どうしても他の利用客が立てる物音が気になり音に敏感な方は耳栓が必須という特徴があります。しかし、「キャビン型」は客室が横並びになっているためそういった音が立ちにくくなっています。更に、「ファーストクラスキャビン」という客室にはベッドの横にテーブルやイスがあるため広々とした空間で快適に過ごすことができ、鍵がかからない事を除けば通常のビジネスホテルと何ら変わりません。都心部でビジネスホテルに宿泊すると1泊1万円を超えることも珍しくありません。ですが、「ファーストキャビン」はあくまでカプセルホテルなので4~5,000円程度で宿泊できます。カプセルホテルとしては割高な料金ですが、場所と快適さを考えると破格といえる値段設定です。
 このように、最近オープンのカプセルホテルの傾向として「プレミアム感」を強調したものが多くなっています。ベッドの快適性やカプセル内の設備にこだわったものや、洗練されたシステムやサービスを提供するものなど他店との「違い」が演出されているため、自分に合ったカプセルホテルを選ぶことができます。また、セキュリティ面を強化した「女性専用フロア」を完備したカプセルホテルなど、今まで「男性向け」とされてきたカプセルホテルの概念を覆す施設も珍しくありません。もちろん、「安いのが一番!」という方に最適のシンプルさを追求した店舗の新規出店もあるのでそちらも要チェックです。

 最近の出店ラッシュは、カプセルホテル業界に「多様性」をもたらしました。ただ「泊まるだけ」というイメージだったカプセルホテルに「プレミアム感」や「快適性」という付加価値が求められるようになり、サービスやシステムも洗練されるようになりました。一方で、日本に「カプセルホテル」という業態が登場して以来の「レトロ感」を味わえる店舗にも数多くのファンがいます。「カプセルホテルには何となく抵抗がある」、「まだカプセルホテルに泊まったことがない」という皆さんも一度は宿泊施設として進化したカプセルホテルに泊まってみてはいかがでしょうか?